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「副詞」「形容詞」とはどんな働きをしているのでしょうか?実は、これらのことばたちは文章における調味料のような存在です。
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言語記述研究室

山内 信幸

博士後期課程教授

PROFILE

1959年、京都市生まれ。1978年同志社大学文学部英文学科に入学。卒業後、同大学院文学研究科博士前期課程(英文学専攻)に進学。修了後の1985年、校祖新島襄に縁のある新島学園女子短期大学(現・新島学園短期大学)に赴任。1989年、同志社大学経済学部着任。言語文化教育研究センターを経て、現職に至る。専門は英語学・言語学。学生たちには、同志社大学及び自身のゼミでの学びに価値を感じて欲しいという熱い思いで、日々接している。

まだ知られていない、“ことば”の原理・原則を解明

副詞・形容詞は、画一的な訳で良いのか

英語・日本語を対象として、副詞や形容詞の構造や機能を解明すること。それが、私の研究のテーマです。例えば、英語の強意副詞であるabsolutelyやcompletely。家庭教師をしていた学生時代、それらの単語が出てくると、辞書に従って「全く」と訳すようにと教えていました。しかし、一方では、文章の内容や前後の言葉が違う限り、常に同じ訳でいいのか疑問に思っていました。そこで、強意副詞のレベルや程度について考察するようになったのがこの研究を始めたきっかけです。これらの課題にデータサイエンスの手法で挑み、副詞・形容詞の意味やあり方を研究することをめざしています。
動詞でも名詞でもない存在として雑多に扱われることが多い、副詞。しかし、文章に彩りを添える調味料のような大事な役割も担っているため、研究を通して光を当てたいですね。

ことばの表現に、コーパスを活用してアプローチ

研究で活用するのは、「コーパス」という情報をデジタル化して大量に集積したデータ。これは大規模な言語資料です。研究にあたりさまざまなことばの用例を収集するのですが、昔は小説や文献を読み、ノートやメモを取ったものでした。今はコーパス上にデータが何十億語も蓄積されており、すぐに検索できます。さらに音声データもあるため、話しことばのデータベースとしても活用可能。日常的な言いよどみや誤り、主語述語が一致しないものなども分析の対象として捉えることができます。

やりたいことを追求する場に、挑む価値のないテーマはない

卒業研究の前には、学生一人ひとりと面接してテーマを聞きます。学生が考えたテーマに「それは無理だよ」と答えることは、絶対にありません。テーマに対して、クリアしなければならないハードルを示したり、アドバイスするようにしています。大切なことは、自分がはっきりとさせたいこと、わからないことを定めて取り組むこと。挫折することなく最後まで踏ん張ってほしいと考えています。ゼミは、研究だけではなく、一生付き合える信頼関係・友情関係を構築する場。教授として、いかなる努力も惜しまず、学生の皆さんをサポートします。「ことば」に強い興味を抱いている人、「文法」が気になる人、とにかく「人間」が好きな人と出会えることを楽しみにしています。