FACULTY MEMBERS
料理は得意ですか?得意な人もそうでない人も、自分のレベルに合ったレシピをインターネットから検索できれば便利ですよね?
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メディア情報学研究室

波多野 賢治

博士後期課程教授

PROFILE

1999年、神戸大学大学院自然科学研究科博士後期課程修了。日本学術振興会未来開拓学術研究推進事業研究員、奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科助手、AT&T Labs-Research Visiting Researcher、同志社大学文化情報学部専任講師、准教授を経て、2015年より現職。専門はメディア情報学、データベースシステム。データサイエンスに象徴される高度情報化が加速する世の中で、「人類の繁栄に繋がる技術を自らの頭で思考し、実際に生み出していくこと」をポリシーとして研究を進めている。

身近なニーズにデータの力で応える

料理の可能性を拡げる

皆さんがパソコンやスマートフォンで料理のレシピを検索するときは、どのような場面でしょうか。それは料理を作る際のアイデアが欲しいと思ったときでしょう。このとき、「冷蔵庫内にある食材だけで、いつもの料理のアレンジができる」とか「この食材を使わずに別の食材で自分の得意料理を作ることができる」といったことが、レシピ検索の中で示されれば便利ではないでしょうか。
メディア情報学研究室では、既存のレシピデータと食品成分表のデータ、そして成分を構成する化合物データを活用し、食材の表記文字列もしくは食材同士の共起関係で表現している食材のデータをコンピュータで扱える数値列の形式(ベクトル)で表現する方法を研究、開発しています。現時点では、ベクトルで表現された食材を、コンピュータを用いて自動分類した際に、我々、人間と同じ感覚で分類ができるようになったところですが、この技術を用いれば、上で述べた、ある料理のアレンジレシピの検索や、決められた食材で作るアイデア料理の考案、そして思いもしなかった食材を用いた得意料理のアレンジなどが可能になる日も近いでしょう。この研究は、既存のデータを統合し、それらからさらにデータを生成することで、データに新しい価値を加えることができた一例です。

大切なのは、情報や知識を活用すること

前述のレシピデータのような、決められた範囲内のデータを統合し、活用する研究は、メディア情報学の分野では当たり前のように行われています。この分野の中心にある技術はデータベースシステムであり、この技術で大量かつ複雑なデータを管理しています。「管理する」ということは、データの価値を見いだすこと、つまり、情報や知識を発見することです。それができない状態では、データベース内のデータを我々人間は活用できないのです。そのため、メディア情報学研究室では、人間がより良い生活を送るために活用できるような情報や知識を、膨大で多種多様なデータから抽出した上で管理し、最終的にはそれらを利活用する仕組みの研究開発に取り組んでいます。情報や知識を正しく使い続けていくことで、人々の生活は今後も豊かになっていくはずです。

世の中の真のニーズは何かを考え抜く

身近な生活に関わること全てを研究対象とするメディア情報学では、人々のニーズに即した研究テーマを選ぶことが大変重要です。しかし、世の中が便利になるにつれて人々のニーズは多種多様化し、専門家だけでは世の中で起きている問題に気づくことはできません。文化情報学部には社会現象に詳しい教員やデータサイエンスを専門とする教員がおり、そうした異分野の教員同士が手を取り合って実施する学際的な研究に取り組みやすい環境だと思います。
データを容易に入手できるようになった今だからこそ、そのデータをそのまま受け入れるのではなく、そのデータが示していることは正しいのかどうかを自分の頭で考え抜くことが、現代を生きる人間には必要不可欠です。学生たちには、文化情報学部の学びを通じて社会現象と技術の両方の知見を得て、自分なりの興味や視点から新しい価値を創り出してほしいと思っています。