FACULTY MEMBERS
めざすのは、人と違和感なく会話できて、友達になれるようなロボット。究極を言えば「ドラえもん」ですね。
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言語資源研究室

伊藤 紀子

博士前期課程准教授

PROFILE

三重大学人文学部卒。イギリス・バーミンガム大学修士課程修了、神戸大学文学研究科修士課程修了・博士課程中退。もともと英語の先生をめざしていたが、大学で話し手の属性(性別、職業、出身など)と言葉遣いの関連に興味を持ち、言語学を専攻。その後、理化学研究所脳科学総合研究センターの研究員となり、情報工学の専門家との研究プロジェクトに参加。状況に合わせて柔軟に言葉を理解・生成できるコンピュータの研究開発に携わる。2008年より現職。

言語コミュニケーションのメカニズムを探る

コンピュータが秘書になる時代!?

最近のスマートフォンでは、話しかけると答えてくれたり、質問すると情報を検索してくれたりする機能が当たり前になりました。私が関わっているのは、その発展形とも言える、人と自然に話せるコンピュータの開発です。音声でカンタンに家電の操作ができる仕組みや、パソコン初心者の手助けをしてくれる音声システムなどがあれば便利ですよね。現代社会では、情報機器が使えるか使えないかで大きな情報格差が生まれているのが現状ですが、秘書やお手伝いさんに頼むような感覚で、人をサポートしてくれるコンピュータをつくりたいと考えています。

外国人に教えるように、日本語のルールを教える

コンピュータが言葉を理解するためには、外国人に日本語を教えるように、言語のルールを一から教えてやる必要があります。主語・目的語・述語の関係や敬語の使い方など細かい点までプログラミングしておかないと、うまく意思疎通ができません。さらに、「人はどうして相手の言っていることが理解できるのか」「どうして誤解が生じるのか」といった、単なる文法を超えたコミュニケーションの仕組みも関わってきます。自然に話せて友達になれる、究極を言えば「ドラえもん」のようなロボットが理想ですね。

言葉、その深遠な世界

研究室では、言葉にまつわるテーマを設定して卒業研究を進めます。敬語、方言、若者言葉はもちろんのこと、歌詞、口コミ文章、小説、漫画、漫才、駄洒落など研究の題材はさまざまで、インターネット上にあるデータを使ったり、会話を収録する実験やアンケート調査でもデータを収集し、分析していきます。

身近な言葉ですが、改めて着目すると不思議なところもたくさん。この言葉遣いは日本語として正しいのか?「女らしく喋りなさい」ってどういうこと?なぜ方言があるの?…などの疑問を抱いた経験のある人、それが言語学の入り口です。一緒に謎多き言語のメカニズムに迫ってみませんか?