FACULTY MEMBERS
歴史の教科書には描かれない、ごく普通の人たち。彼らが残した手掛かりを解析すると、名もなき人々の姿が鮮やかによみがえります。
FACULTY MEMBERS
時空間情報科学・行動計量解析学研究室
津村 宏臣
博士前期課程准教授
文化財科学、文化人類学、考古学
PROFILE
広島県出身。総合研究大学院大学文化科学研究科博士課程修了。国立歴史民俗博物館情報資料研究部講師、東京藝術大学大学院美術研究科助手などを経て、現職。同志社大学文化遺産情報科学研究センターセンター長、真庭市政策アドバイザー(文化政策)などを兼務。同志社大学発ベンチャー株式会社SOCRAH代表取締役。共著に『考古学のためのGIS入門』(古今書院)、『生きる場の人類学』(京都大学出版会)、『シークワーサーの知恵』(京都大学出版会)などがある。
時空間情報科学で人類の謎に迫る
“モノ”は嘘をつかない。データ分析で人間を探る
学校で習う歴史、それはすなわち事件の歴史です。政治的なキーワードは記録されますが、その裏にある一般の人たちの暮らしは、多くの場合文字に残されてきませんでした。
そんな歴史の表舞台に登場してこなかった出来事や人々の姿を明らかにするのが「人類学」です。昔の人が作り、使い、残した“モノ”は嘘をつかないため、科学に照らせば当時の生活様式や文化生態がまざまざと浮かび上がってくるのです。
現在取り組んでいる2つの研究は、文化資源を社会資源化、共有化する方法と実践の研究です。一つは、発掘や計測などの文化遺産の調査を通じて、対象のデジタルデータをアーカイブすること、そのアーカイブから歴史・文化を再構築する研究です。もう一つはそのデータを、AR/VRなどxR技術で行政、教育、観光の現場で可視化、身体化する方法の探求です。私達が「想像」する歴史と、データにより可視化される実像は、思いのほか大きな差があることがわかってきます。
そんな歴史の表舞台に登場してこなかった出来事や人々の姿を明らかにするのが「人類学」です。昔の人が作り、使い、残した“モノ”は嘘をつかないため、科学に照らせば当時の生活様式や文化生態がまざまざと浮かび上がってくるのです。
現在取り組んでいる2つの研究は、文化資源を社会資源化、共有化する方法と実践の研究です。一つは、発掘や計測などの文化遺産の調査を通じて、対象のデジタルデータをアーカイブすること、そのアーカイブから歴史・文化を再構築する研究です。もう一つはそのデータを、AR/VRなどxR技術で行政、教育、観光の現場で可視化、身体化する方法の探求です。私達が「想像」する歴史と、データにより可視化される実像は、思いのほか大きな差があることがわかってきます。
「文化×情報」の可能性と課題
研究室に来るのは、必ずしも歴史好きが多いわけではありません。例えば「日本人は電車で端に座りたがるのはなぜか?」というテーマは心理学でよく議論されますが、人類学的に見てみるとどうでしょうか。大阪と東京では全く違うかもしれません。文化と人類という切り口で見れば、現代の社会や経済も違った姿を見せてくれます。
そんな汎用性に満ちた分野ですが、一方で眼前の課題としては「文化遺産情報の共有化」を図る必要があります。東日本大震災では文化財のみならず、沿岸部で語られていた地に根ざした歴史や習俗、民話などが一瞬で消失してしまいました。情報化して人類の知をサステイナブルなものにする方法が必要とされ始めていると思います。
そんな汎用性に満ちた分野ですが、一方で眼前の課題としては「文化遺産情報の共有化」を図る必要があります。東日本大震災では文化財のみならず、沿岸部で語られていた地に根ざした歴史や習俗、民話などが一瞬で消失してしまいました。情報化して人類の知をサステイナブルなものにする方法が必要とされ始めていると思います。
無目的でもいい、世界を見よう
文化遺産は図書館やパソコンの中にはありません。自分の足で歩き、目で見て、手で集めなければなりません。私はこれまでユーラシアやアフリカを中心に世界各国を訪れて調査をおこなってきました。学生の皆さんも、大学時代にどうか世界中を旅してください。閉じた世界にいると、自分の物差しでしかものごとを計れなくなります。観光でもいい、無目的でもいいので、自分の目でしっかり世界を見てみましょう。