FACULTY MEMBERS
コミュニケーションがうまくいくとはどういうことでしょうか?会話だけでなく、人のしぐさや表情も大きな役割を果たしているんですよ。
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身体メディア研究室

阪田 真己子

博士後期課程教授

PROFILE

兵庫県姫路市生まれ。2002年神戸大学大学院総合人間科学研究科博士課程修了。博士(学術)。ATR知能映像通信研究所研究員、福島学院大学講師を経て、2005年4月本学部専任講師に着任、2018年より現職。学生時代からコミュニケーションについて興味を持っていたことから、身体の情報伝達機能に注目。グループワーク観察や機器を用いた身体動作の計測などを通して、人間の身体から伝わる情報について多面的にアプローチしている。

コミュニケーションにおける身体動作と心の関係を探る

人と人との関係性における「身体」の役割を考える

怒っていないのに「怒ってる?」と聞かれたり、気持ちとは裏腹なことが相手に伝わってしまうこと、ありますよね。コミュニケーションと聞くと「言葉」のイメージが強いですが、実は私たちは無意識のうちに、言葉以外の“何か”からもたくさんの情報を察知して相手の気持ちを読み取っています。この“何か”の中の、身振り、手振り、顔の表情、うなずき、姿勢などの「身体」そのものからどのような情報が伝わるのかが私の研究テーマです。
コミュニケーション研究の一貫で、お笑い芸人の方の動きを計測し、「観客を惹きつける仕掛け」についても研究をしています。お笑い芸人は、第三者の関心を惹く身体の動かし方を知っているコミュニケーションの達人。彼らの身体性と“面白さ”の関係を検証するために、実際にプロの漫才師に協力してもらい実験を行いました。
また、日本舞踊や阿波踊りのような伝統芸能の身体技法(ワザ)の習得と熟達、継承に関する研究も行っています。現在、伝統芸能の担い手は減少の一途をたどるばかり。そこで、現在のあらゆるデジタル技術を駆使し、後世にワザを残すプロジェクトを進めています。具体的には、モーションキャプチャやアイトラッカーを使用し、本人も意識していない身体各部位の動きや細かい目づかいなどを記録、分析しています。

最新技術から「身体」の意味を捉え直す

近年、メタバースやアバタといった技術が急速に進展し、現実空間の制約から解放されて、仮想空間上では自由に「なりたい自分」になることができるようになったといえます。でも「なりたい自分」って、そもそもどんな自分でしょうか。本当に、生身の身体から解放された自分は幸せでしょうか。このように、DXやAIといった新しい技術の中で、私達の「身体」の捉え方がどのように変容してきているのか、そして人類にどのような影響を与えるのかを考えるために「身体論5.0」をキーワードに研究を始めています。

自分自身の「身体」のフィルタを通して問題を考えてみよう

「身体メディア研究室」という名前だけ聞いても、どんなことをしているのか想像しにくいと思います。ここでは、あらかじめ決められた方法論はありません。日常で感じた疑問を実証的に解明するために、どんな方法で研究するのかというところから考える必要があり、研究テーマや研究方法が定まるまで約半年かかります。何をどう研究するかは学生次第。何も考えずに研究の指導を仰ぐのではなく、解決策を考えて自ら提案することで、主体的な問題解決能力が身につくと考えています。自分自身の身体のあり方も日々更新されていっているはずです。自分自身の「身体」に起こっている問題を通して、自ら課題解決に立ち向かえるエネルギーのある人になってほしいですね。