FACULTY MEMBERS
日本人の数学スキルをデータサイエンスに活かす。リテラシー教育を通じて、時代が求める人材育成に力を注いでいます。
FACULTY MEMBERS
狩野 裕
博士後期課程特別客員教授
統計科学、人文社会情報学、科学リテラシー
PROFILE
大阪市に生まれ中河内に育つ。1986年、多変量解析の理論研究によって大阪大学から工学博士を取得。運輸省(当時)海技大学校教養科、大阪大学基礎工学部、大阪府立大学(当時)工学部、筑波大学数学系、大阪大学人間科学部、大阪大学大学院基礎工学研究科を経て、2024年より現職。40年以上にわたり、理工系学部、文科系学部、教養課程において統計学とデータサイエンスの教育と研究に従事。
より多くの方に、「数学の活かし方」としてのデータサイエンスを学んでほしい
数学スキルは高いが、数学に苦手意識を持つ日本人
日本人の数学スキルは、実は世界的に見てもかなり高度なものです。最初にそう感じたのは、アメリカの大学に訪問研究員として滞在していた時のこと。文系学部所属の日本人が、家庭教師として現地学生に数学を教えていたのです。彼女曰く、日本では決して数学は得意ではなかったとのこと。典型的な文系の日本人学生でも、アメリカの大学生に数学を教えられるレベルにあるということにとても驚きました。小学校の頃から、テストや受験に向けて数学のトレーニングを積み重ねる日本だからこそ、実はハイレベルなスキルが身についているのです。
一方で能力の高さに反して、受験や学生生活が終わると多くの方が数学を使わなくなり、忘れてしまう。せっかく技術を磨いてきたのに活かさず、まさに宝の持ち腐れの状況です。その原因も、長年にわたる「数学のトレーニング」だと言えるでしょう。スキル向上に大いに貢献してきた日本式の数学教育ですが、その反面、半ば強制的に取り組まされることで苦手意識を持ってしまう人が多いのも事実。自然と数学を避けるようになり、応用を学ぶ機会を逃しています。
数学はあくまでも道具です。せっかく高めたスキルも活かし方を学ぶことが無ければ、その価値は大きく減ってしまいます。だからこそ私は、日本人が持ち前の数学スキルを活かせるよう、その活用方法の一つとして統計・データサイエンスの教育に注力しているのです。
一方で能力の高さに反して、受験や学生生活が終わると多くの方が数学を使わなくなり、忘れてしまう。せっかく技術を磨いてきたのに活かさず、まさに宝の持ち腐れの状況です。その原因も、長年にわたる「数学のトレーニング」だと言えるでしょう。スキル向上に大いに貢献してきた日本式の数学教育ですが、その反面、半ば強制的に取り組まされることで苦手意識を持ってしまう人が多いのも事実。自然と数学を避けるようになり、応用を学ぶ機会を逃しています。
数学はあくまでも道具です。せっかく高めたスキルも活かし方を学ぶことが無ければ、その価値は大きく減ってしまいます。だからこそ私は、日本人が持ち前の数学スキルを活かせるよう、その活用方法の一つとして統計・データサイエンスの教育に注力しているのです。
リテラシーを身に付け、時代の要請に応える力を
「データサイエンスを教育する」と言っても、分析者として高度なテクニックを身に付けてほしいということではありません。最も大事にしているのは「リテラシーや正しいデータの見方を学んでもらう」ことです。私が担当する1年生の必修科目「統計学入門」の授業は、まさにこのポリシーを体現したもの。これまで培ってきた数学力を活かす場として、統計やデータ分析といった面白い分野があることを「入門レベル」で体感していただけます。多くの学生の中にデータサイエンスの土台を築き、数学の応用への道を示してあげることが私の目標です。
データ分析におけるリテラシーは、いわば将棋における定跡のようなものと言えます。身につけることで、高度なテクニックを用いなくても、世の中の様々な現象や課題を「データ」という切り口から捉えることができる。そうすると、浮かんでくるアイデアも全く異なったものになるでしょう。現代社会が要求しているのは、データサイエンスのスキルも勿論ですが、データを用いて多様なアイデアを出せる人なのです。データサイエンスはどんな分野(社会科学,生命科学,理工学など)にでも応用できると言っても過言ではありません。それゆえ総合的な学問・技術です。データサイエンスで,課題解決,価値創造†,お宝発見,一緒にやってみませんか?
† データを分析してみて初めて分かること。
データ分析におけるリテラシーは、いわば将棋における定跡のようなものと言えます。身につけることで、高度なテクニックを用いなくても、世の中の様々な現象や課題を「データ」という切り口から捉えることができる。そうすると、浮かんでくるアイデアも全く異なったものになるでしょう。現代社会が要求しているのは、データサイエンスのスキルも勿論ですが、データを用いて多様なアイデアを出せる人なのです。データサイエンスはどんな分野(社会科学,生命科学,理工学など)にでも応用できると言っても過言ではありません。それゆえ総合的な学問・技術です。データサイエンスで,課題解決,価値創造†,お宝発見,一緒にやってみませんか?
† データを分析してみて初めて分かること。
時代の先駆者”文情”
また、データサイエンスは近年国を挙げて取り組みを強化している分野でもあります。政府は2025年までに約50万人に、そのリテラシーレベルを学ばせようとしていますが、これは文理を問わず大学生のほぼ全員にあたります。今でこそ国が本腰を入れ始めた分野ですが、ここ文化情報学部は20年も時代を先取りして創立された学部。当時は、今と比べて分析に用いる機器は充実しておらず、データ分析という分野は社会科学系以外ではあまり注目されていませんでした。そのような時代に、「文化を科学する」というコンセプトのもとこの学部ができたことに強い衝撃を受けたことを覚えています。
まさに時代の先駆者と言っても過言ではないこの学部は、データサイエンスを学ぶのに最高の舞台です。皆さんもこの場所でぜひ、気になる文化という事象をデータという観点から見つめ直し、新しいアイデアを見つけてください。
まさに時代の先駆者と言っても過言ではないこの学部は、データサイエンスを学ぶのに最高の舞台です。皆さんもこの場所でぜひ、気になる文化という事象をデータという観点から見つめ直し、新しいアイデアを見つけてください。