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教員紹介

文化科学研究室
矢野 環教授

矢野 環 教授

プロフィール

1949年、京都府京都市生まれ。1978年、京都大学大学院理学研究科数学専攻博士後期課程修了。埼玉大学理学部数学科教授を経て現職。専門は系統文献学、伝統文化論。著書『君台観左右帳記の総合研究』では、平成11年度三徳庵茶道文化学術賞を受賞。自らも茶道・華道を嗜み、香道についての著作・編集も多い。近年は、独自の計算式をもとに行うAKB48シングル選抜総選挙予測が、その的中率の高さからメディアの注目を集めている。

「系統」に着目し、文化の変遷を追う

文化の系統を遺伝子のように捉え、
変化のダイナミズムを解明

私の専門は「系統文献学」。生物の進化による系統分化の歴史を研究する「系統学」の方法論を文献や文化に適用する、新しい研究分野です。人類の足跡をたどると、あらゆる場面で「系統」が現れてきます。『新約聖書』や『源氏物語』などの古典籍は、書写されて後世に伝わる間に異なる写本がたくさん生まれ、茶道や華道にはさまざまな流派が存在します。これらを数理的に解析して系統間のつながりや相違などを見出し、文献・文化のルーツや変遷過程、そして本質そのものに迫るのが系統文献学。文明の発展の謎を明らかにするべく、過去から現在の流れを復元し直す作業です。

通説がひっくり返る面白さ、研究対象の幅広さ

人はどうしても先入観でものを見がちですが、数理的に解析すると、これまで採用されていた説が覆ることもあります。例えば『君台観左右帳記(くんだいかんそうちょうき)』という中国の画家のリストが載った書物には、掲載人数が多い写本と少ない写本があります。こうした場合、「時代が下がるにつれて増補され数が増える」というのが通説ですが、解析してみると実は逆で、次第に精選されて減っていったことが分かりました。

正しい結果を導くためには大量の資料にあたる必要があり、文献の内容も取り扱うため文理両方の知識も必要になりますが、このように従来の研究にメスを入れる可能性を秘めているのです。また汎用性も広く、“変化するもの”であれば、文献に限らず建築様式や美術品、政治や社会の流行まであらゆるものが分析対象に。さらに、過去の系統群の分岐・融合のさまを復元していくこの手法を応用すれば、未来予測も不可能ではありません。

京都で文化を研究する意味

私はもともと数学の研究者ですが、京都出身で芸道に興味があり、華道、茶道、香道などを習いながら、流儀や伝書の系譜を分析対象にもしてきました。研究室の学生の中には、同じように能や茶道を実際に習いつつ、テーマに選ぶ学生もいます。もちろん自分の興味のあるものを選ぶのが一番ですが、京都は本物に触れることができる貴重な場所。せっかくならその立地を最大限に活用した研究に挑んでみるのもいいと思います。

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