FACULTY MEMBERS
SNSを含め、様々なメディアで用いられている「図解=情報グラフィックス」。それらが、使う人の理解や思考、判断にどんな影響を与えるかを研究しています。
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視覚表現研究室

下嶋 篤

博士後期課程教授

PROFILE

1988年同志社大学文学研究科哲学専攻修士課程修了後、フルブライト奨学生として1990年に渡米。インディアナ大学視覚推論研究所に所属し、1996年には同大学哲学科博士課程修了。ATR知能映像通信研究所奨励研究員、北陸先端科学技術大学院大学助教授を経て同志社大学へ。2012~14年、米国・スタンフォード大学客員研究員。専門はグラフィック表現の情報機能の分析。

グラフィック表現を科学的に分析

「図解=情報グラフィックス」が重宝される理由とは?

SNS、新聞、雑誌、書籍、教科書など、様々なメディアで図解が用いられています。その背景には、「図にすると説明が分かりやすくなる」、あるいは、「図を示すと主張が通りやすくなる」という前提があります。しかし、なぜ図解がこうした効果を持つかについては、科学的に解明されていません。私が生きている間に全てを明らかにできるかは分かりませんが、この疑問に対する答えの大枠だけでも見つけ出し、世の中に貢献するのが私の研究の目標です。

「表現」の持つ力を科学的に解明するために

この研究を始めたきっかけは、大学生の時に、ニーチェやカミュなどの本を読んだことです。彼らは素晴らしい文章力の持ち主で、自分の思想を非常に巧みな文章表現で展開し、私も当時大きな影響を受けました。しかし後になって、「同じ思想がもう少し下手な文章で表現されていたら、ここまで影響を受けただろうか」と疑問に思えてきました。そこで、科学的な手法を用いて文章表現そのものを研究してみたくなり、それからいくつかの挫折と僥倖を経て、文章表現ではなく地図やグラフ、絵などのグラフィック表現を研究するに至りました。

卒業研究では、“世の中のために学ぶ”経験を

卒業研究では、一人一人の学生が研究機関の一員として扱われます。現在から将来にわたりとくに問題となる気候変動や食糧問題。その解決に向けてグラフィック研究の立場から何ができるかを考え、社会に対して小さくても実質的な貢献を行う研究をめざします。

学生は課題をしっかり分析し、どのような研究をすれば問題解決の一助となるかを自ら考えねばなりません。自分のためだけではなく、世の中のために頭を使って勉強するという経験をすること、それが卒業研究の最重要事項だと考えています。