FACULTY MEMBERS

人間は誤った判断をすることも多いですが、適切なデータがあれば、科学的・統計的な思考が可能になるのです。
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斎藤 元幸
学部助教
認知科学、実験心理学
PROFILE
2015年関西学院大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。博士(心理学)。カリフォルニア大学ロサンゼルス校客員研究員、関西学院大学文学部助手を経て、現職に至る。推論や意思決定などの高次認知に関心を持ち、行動実験やオンライン実験、認知モデリングの手法を用いて、因果推論に関する認知科学的研究に従事。思考について思考し続けている。
認知モデリングを駆使して人間の思考を予測する
人はみな科学者や統計学者と同じ思考ができる?
人間の思考は、因果関係に基づいて行われるのが特徴だといわれています。みなさんも「なぜ?」「じゃあどうなるの?」などと日常的に考えることがあると思います。これが因果的な思考です。例えば、抗インフルエンザ薬のタミフルについて、異常行動の危険性があると思っている人もいますが、数年にわたる調査の結果、タミフルを服用した場合と服用していない場合で異常行動の発生率は変わりませんでした。このようなデータが与えられた場合、人間は特別な訓練を受けていなくても、科学者や統計学者と同じように正しく判断することができます。人間が「因果関係をどのように考えるか」といった問題に対して研究することで、人間の思考のメカニズムを解明したいと考えています。一人一人の思考が予測できるようになったら面白いと思いませんか?
学際領域で研究することの面白さ
人間の思考について考えるというと、「心理学と何が違うの?」と思う人もいるでしょう。心理学と認知科学の違いは、その領域の広さや深さにあります。認知科学は心理学を含めた学際領域で、認知を理解するために様々な分野の知見や研究手法を取り込みます。認知科学の特色であるモデリングを用いることで、実験結果をより深く考察していくことが可能になります。研究は実験とモデリングを両輪として進めています。実験参加者に課題となるデータを提示し判断してもらい、その結果をモデルの予測と照らし合わせて、認知プロセスを明らかにするという流れです。予測通りの結果が出た時はもちろん、予想外の結果が得られた場合にも、知らなかったことを知る喜びがあります。常に新たな疑問が発生し、その解明に挑んでいくことはワクワクの連続です。
人や文化について、自分で考えアウトプットする
若い世代の人たちは、情報収集する力に長けていると思います。その力を存分に生かしながら、集めた情報をまとめて考察し、アウトプットするトレーニングを積んでほしいと考えています。文化情報学部は研究テーマや研究手法も様々で、自分が面白いと思えるものに必ず出会えるところが魅力だと思います。心理学が「個人」について探究する学問であるのに対し、この個人の特性を形成する「文化」についても研究するのが文化情報学部です。人や文化に興味があり、幅広く考えてみたい人はぜひ本学部で学んでいただきたいです。