
皆さんは「方程式とは?」と聞かれてどのように答えますか?
「数学で習ったことがある」「難しそう」「解の公式は覚えている」など、方程式に対していろいろな印象があると思います。もし私がそのように聞かれた時は、次のように答えます。「方程式とは、様々なことを教えてくれるもの」
1次方程式、2次方程式、連立方程式、微分方程式、積分方程式、差分方程式などなど方程式の種類は様々あります。1次方程式は、我々に文字を用いて物事を考えることの便利さを始めに教えてくれました。また2つ以上の問題(方程式)を同時に満たすような解決策(方程式の解)を求められることが日常生活でもしばしばあると思います。この場合には同時に考えること、すなわち連立方程式の解法が我々にひとつの解決策を教えてくれます。(注:ただし教えてくれない場合、すなわち連立方程式が解を持たない場合もあり、これは大学で勉強する線形代数につながる興味深い例です。)ここまでは皆さんは多少なりとも学んだことがあると思います。一方、ここから(大学から)登場してくるのが「微分方程式」です。名前には、方程式に更に微分が追加されています。それでは微分方程式とはどのようなものでしょうか?その前に「微分とは?」を説明する必要があるのですが、長くなりますのでとりあえずは「微分とは、現象の時間の変化を調べることができる便利なもの」と考えてください。すると微分方程式が教えてくれることは、「時間の変化がある現象」と考えることができます。我々の生活の中で、時間変化が伴う現象はたくさんあります。天体の軌道、地震の波の伝わり方、青空と夕焼けの違い、天気予報、株価の変化、人口の増減など微分方程式は様々なことを教えてくれます。
17世紀に微分積分が誕生し、我々が自然現象を研究するための言葉を得てから近代科学が幕を開け、その後現在に至るまで様々現象の理解が方程式を通して行われてきました。その中で、特に微分方程式は重要な役割を担ってきました。ニュートンは、重力をキーワードに地上の物体についてのガリレオの理論と天上の物体についてのケプラーの理論を統合してニュートン力学を作りました。また、マクスウェルは電気と磁気を結びつける方程式を導いています。この両方とも主役を演じたのは微分方程式です。他にも様々な分野において微分方程式は、色々な疑問に答え続けています。
さて、現在は21世紀です。今後微分方程式がどのような変化をみせ、どのような疑問に答えてくれるのでしょうか?20世紀後半から21世紀にかけてコンピュータの性能が格段に進歩し、様々な現象のコンピュータによるシミュレーションが段違いに速く正確になりました。実は、コンピュータは微分が苦手です。したがって、微分方程式で記述された現象をコンピュータでシミュレーションする場合には適切な差分化(注:差分とは数列のことです。)を行う必要があります。これは、連続的(アナログ)な概念ではなく、離散的(デジタル)な概念です。すなわち21世紀は、アナログからデジタルへ主役が代わる世紀になるのではないかと思います。それに伴い微分方程式の役割も変わっていくでしょう。しかしながら、現象を理解したいという人類の素直な欲求がある限り、微分方程式も進化し続けると思います。
21世紀では、微分方程式はどのような疑問に答えてくれるのでしょうか?わくわくするような時代がやってくるはずです。一緒に21世紀の科学を作りましょう!
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