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日本文学研究室 − 福田智子


 「梅に鶯」「紅葉に鹿」など、決まりごとに満ちている古典和歌の世界。古来、日本人は、和歌によって美の型を学んできた。古典和歌の表現は、 真似し真似されしながら、伝統を継承してきたのである。本歌取りは、その典型であろう。ところが、歌を作るとき、歌人の頭の中に、作歌の材料としてど のような既存の歌や表現があったのか、現代人にとってはなかなか把握しにくい。そこで、電子テキスト化した和歌データを、計算機プログラムを用いて 解析し、その結果を吟味することで、古典和歌の謎を解明していく。





研究内容

 文学研究においては、用例を網羅的に集めて、その使われ方の"法則"を吟味する、実証的な研究スタイルが伝統的にとられてきた。古典和歌におい ても、その成果は、歌語辞典の類にまとめられている。だが、現存する膨大な和歌資料からは、まだまだ"作歌の秘密"が掘り起こせるはずである。
 近年、情報科学の分野で、データマイニングの技法が注目されている。小売・サービス業で、販売時点情報管理(POS)システムなどで集めた大量の データを分析し、「金曜日の午後には缶ビールと紙おむつを一緒に買う女性客が増える」といった"法則"を発見するというものである。
 こんな意外な発見を、古典和歌の「ことば」を対象にしてやってみたい。写本・版本を翻字、電子化した和歌データを、独自に開発したツールを用いて 分析していく。すると、本歌取りの発見、歌集の成立年代推定、散佚歌集の復元といった、新たな知見を得ることができる。情報科学との連携は、今後も発展 が期待される研究スタイルであろう。




現在の研究課題

科学研究費補助金 基盤研究(C)
文字列データ解析システムの構築と平安中期歌語生成に関する研究(平成19〜21年度)
文字列解析システムを独自に開発し、それを用いて、10世紀後半の「歌語」(かご:和歌に使われることば)生成の実態を浮かび上がらせる。




卒業論文

“水に映る影”をテーマに、「花」や「月」などの歌語の使われ方の特徴を、コンピュータを使って分析しています。▲「声のにほひ」―ふだん聞きなれないこの歌語から、 中世の貴族たちが求めた美の世界を探っています。▲写本間で文章が大きく異なる『平家物語』について、コンピュータで比較・分析し、人物像や伝本の個性に迫って いきます。▲『古事記』に用いられている形容詞に着目し、他の文学作品ではどのように使われているかを探ります。▲日本古典といえば、やはり『源氏物語』。 物語中で交わされる文(ふみ)に着目しています。女君なら紫上かな。▲俳句の季語に興味をもっています。芭蕉さんの俳句はいいなあ。▲『今昔物語集』の怪 異譚を読んでいます。まあまあおもしろいかな。▲金子みすずの詩を電子テキスト化し、データ解析を行うことで、作品の知られざる一面を明らかにしたいと思います 。▲京極夏彦「塗仏の宴」について、作者自身がいう“フラクタル構造”の視点から、分析したいと思っています。▲ライトノベルで卒論を書きます!分析は大変だけど、好きなものは しょうがない!!題材は『キノの旅』。



学生研究会「歌語研究会」

 2回生と3回生の学生が、『古今和歌六帖』(10世紀後半成立と見られる類題和歌集)の表現分析を通して、基礎研究に参加しています。